昨年の11月に四女を出産したのち、長く暗く寒い冬を経てスコットランドで産後うつになった。
うつとの付き合いは、もはや物心ついた時からなので割と慣れたもんで、「あ〜、今ウツってるな〜」くらいのノリ、無思考状態で日常生活をダレダレになりつつもやり過ごせるくらい、自分を構成するパーツのひとつのようになっている。
がしかし、長く暗く寒い冬、これは予想以上に厳しかった。知らず知らずのうちに精神をやられた。
スコットランドは緯度が高い。そのため夏はほぼ白夜のようだが、反動で8月末頃から夜が目に見えて長くなっていく。ここからはクリスマスまっしぐら。そして夢のようなクリスマス期間終了と同時に、全てが死に絶えたような冬がそこに横たわっている事に気がつき目が覚める。いや、目が覚めてもどうせ暗いので、現実を見なかったフリしてもう一度寝たくなる。失礼を承知で言えば、「Death!」と表現したくなる暗黒の季節だ。
そんなこんなで気がつけば、人に会うのにも神経逆立つような、殺気だった母猫のようになっていた。うつといえば典型的な症状しか知らない、経験したことがなかったので、諸々自覚がないのがまた恐ろしかった。赤ちゃんはかわいいと感じていたし、多少色んなことに対して腰が重くなっていたのは忙しいからだと思い込んでいた。
誰かに話を聞いてもらうにも、英語を話すことすら億劫。いや、そもそも英語が耳に入ることすら疲れる。忌々しい。そんな状態だったのだが、幸いこの国には「Health visitor」なる制度があり、赤ちゃん、子どもがいる家庭は問答無用で定期的に訪問してもらえる。その際に、最近の日常における気分等に関する所定の質問に答え、ある程度以上の点数がつくと地域のかかりつけ医や、広域病院に繋いでもらう形になる。
・・・といった顛末で、異国の地でジタバタしながら散々人々に助けてもらって、ようやく最近ぽや〜んと復活してきたのであった。
怪我の功名というのか、今人生で一番落ち着いた気持ちでいる。「何かを成し遂げなければ」と焦ることなく、「誰かに怒られるかもしれない」と心の奥でビクビクする自分を感じることもない。良くも悪くもフラットな状態で、なおかつそういう自分が嫌いではないと感じている。
心の中になんとな〜くくすぐったいようなものが住み着いていて、それが時折「にゅにゅにゅっ」と顔を出してくる。誰かが幸せそうに笑っているときや、夜、布団の中でちいさく柔らかい身体をぎゅっと抱きしめたときに。
もしかして、ずっと探していたものは何を成す必要もなく手に入るものだったのかもしれない。いや、それすらも正確ではなく、私にずっと必要だったのは、「しあわせを感じるちから」だったのかもと。
そんなことをぼぉっと考えつつ、夏のおわりを眺めています。
読んでくださりありがとうございます。
どうかあなたによい一日を。
そんな時間を過ごされていたんですね…
文字化と記事化おめでとうございますToT
しあわせをかんじるちから
自分の探しているものもこれなのかもしれません。
なにはなくとも今ここにいるしあわせ、は間違いないもので。
いつものあれですが…欲しいレンズがあるのもしあわせなことかもしれませんね笑
SNSの通知も届かないフォーマットから。
今日もありがとう。
2023/08/27
19:04の日本より
くら
(日本語で書いて届くのかしら…
(本日の人間かどうかチェックの文字列は「つけちり」でしたw
くらさんこんにちは、こちらにコメントをくださっていた事今気づいて読ませていただきました!
ありがとうございますーーー!そして申し訳ありません!
日本語、ばっちりです(ToT)
SNSの世界は少しペースが速いこともあり、久しぶりにこちらに戻ってきたところ、くらさんの言葉がとても沁みました。
世の中が変わっていくのに自分も合わせていく部分もあれば、歩みをゆっくりと保っていく部分もあっていいのかななどと思う今日この頃です。
ブログは終わったという言葉も散見しますが、この独特の距離感はまだまだ心地いいな〜なんて思います。
くらさん、日本は暑くなっていることと思います。どうかご自愛ください!
よい一日でありますように!